1.むし歯の原因 2.むし歯の予防 3.歯周病のしくみ 4.歯周病の予防
みなさんは「お口の健康」って考えたことがありますか? 毎日を楽しく快適に過ごすために「お口の健康」を保つ目標として次のことを挙げました。
①歯の喪失をゼロにする
②定年退職時に、その後快適に過ごせるようなお口であること
これを実現するために、歯を失う大きな原因である「むし歯」と「歯周病」の予防についてご紹介します。
むし歯は、なりやすい人、なりにくい人が確かにおられます。でも、決して“生まれつき”むし歯になりやすいのではありません。
歯と年齢の密接な関係
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生まれつき歯が弱いということはほとんどありません。でも、歯の状態と年齢によっては、むし歯になりやすいことがあります。例えば、歯は体の中でもっとも硬い組織ですが、歯が生えてきたばかりのときは十分に歯の結晶が成長していないので、むし歯になりやすいです。
また、中年を過ぎると歯ぐきがやせてきて、歯の根の部分が見えてくることがあります(写真1)。歯の根の部分はエナメル質よりも酸に弱く、むし歯になりやすいので、高齢になればなるほどむし歯になりやすいといえるでしょう。 |
●写真1
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歯の表面に住みつくむし歯菌
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歯の表面には300から400種類の細菌が住んでいると言われています。その中に糖分を分解して酸を作る細菌がいます。中でもミュータンス菌(写真2)は、糖分から酸を作るだけでなく、デキストランというねばねばした物質を作って歯の表面にくっついて、とくにむし歯と強く関係しています。 |
●写真2
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むし歯になりやすい飲食習慣
アメを1個、ジュースを一口飲んだだけでも歯の表面のプラーク中では酸が産生されて脱灰(歯の表面のエナメル質などからリン酸カルシウムの結晶が溶け出すこと)が始まります。そこで、Aさん、Bさんを例にとってどちらがむし歯になりやすいか考えてみましょう(図1)。
Aさんは食事の他は4時頃に1回間食をとるだけです。
一方、Bさんは午前中はデスクワークでした。口が寂しいのでアメを食べながら仕事をしています。午後からは外回りでした。1件目の得意先で砂糖入りのコーヒーを飲み、2件目の得意先ではケーキまでいただきました。夜は風呂上がりにジュースを飲みました。
2人のステファンカーブ(図1)を比べてみると一目瞭然ですね。間食をだらだら食べることが、むし歯を作るもっとも大きな要因です。
最近「キシリトール」入りのガムやアメを目にすることが多くなりました。キシリトールの甘みは砂糖と同じくらいなのですが、ミュータンス菌が食べても酸を出しません。そのうえ、徐々にミュータンス菌を少なくさせる効果があります。ガムやアメなどは、ぜひキシリトール入り(シュガーレスと書かれているもの)を選んでください。
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